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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「でも、翔吾くんにはたくさん上書きしてもらっているから」
「そう? 仕方なく俺に抱かれていない?」
「抱いてほしいから抱いてもらっているよ? ……気持ちいいし」
太腿のあたりに違和感。熱を帯びた柔らかなものが徐々に硬くなってくる。夜になるまで一眠りしたかったんだけどなぁ。
「今は?」
「ちょっと眠りたかったかな」
「寝かせない、って言ったら?」
「体が保つか心配。明日の予定がこなせないかも」
翔吾くんは唸る。性欲と明日の予定を天秤にかけているようだ。
明日は何をするのだろう。箱根では美術館を観光をしたけど、軽井沢にも美術館はあるのだろうか。森林浴をしながらの散歩でもいいんだけど。
「あんまりあかりに無理をさせたくはないんだけど……あと二回くらいなら頑張れそう?」
「夕飯のあとに二回?」
「……今から、と、夕飯のあと……やっぱ三回」
「じゃあ、明日は控えめね?」
翔吾くんは唸り、悩んだあとに「夕飯のあと二回」と小さく呟く。明日は控えめにはしたくないらしい。困った人だ。
顔を合わせて笑って、キスをする。深く求め合うとセックスをしたくなってしまうので、軽めのキスだけで止めておく。硬くなったものも徐々に小さくなるだろう。
「おやすみ、あかり」
「おやすみ、翔吾くん」
男の人の腕の中で微睡(まどろ)むのは気持ちいい。とても気持ちいい。
愛し合ってはいなくても、安心できる人のそばにいられるのは、幸せなことなんだろう。満足できるものなんだろう。
翔吾くんの吐息を感じながら、その胸元に顔を埋(うず)めて、願う。
これが幸せなら、長く続けばいいのに、と。

