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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

さすがにモール内で始めてしまうほど理性がないわけじゃない。そこまで愚かじゃない。
固く手を握って、小走りで出入り口へ向かう。途中、何度も「大丈夫?」と翔吾くんが振り向いてくれて、私はただ頷くだけで彼についていく。
箱根でも同じだった。湯川先生も、「早く抱きたい」と、こうして手を引いてくれた。少し会えなかっただけなのに、どうしてこんなにお互いがお互いを強く求めてしまうのか。不思議。
ねぇ、ケントくん。
私のほうこそ、中毒症状なのかもしれない。
セフレさんたちが私の体に溺れるように、私も彼らの精液の虜になっている――そんな気がするよ。
パーキング内の車に乗り込んだ翔吾くんにならって助手席に乗ろうとすると、「あかりは後部座席」と指示される。
後部座席に乗り込んですぐ、高級な車なんだなと理解する。シートは本革。足元も広い。後ろから見える運転席も、何か凝った作りになっている。豪華。そして、綺麗。
バッグと紙袋を置き、アームレストを引き上げて座席に引っ込めると、運転席の後ろのドアが開き、翔吾くんがひょこりと顔を出す。
「あれ、運転?」
「そこまで我慢できないから」
エンジンと冷房を入れてくれたけど、走っていない車にはそんなに効果は期待できない。屋根があり、日陰があるおかげで車内は暑すぎることはないけれど。
「あかり」
「え、まさか」
「車でするのは初めて?」
「そこまで我慢できない」は、「別荘まで我慢できない」という意味だと、ようやく気づく。
ぐいと手を引かれ、翔吾くんに抱きしめられる。ベージュ色の本革のシートはよく滑る。体重をかけられ、引っ張られるとすぐに翔吾くんに組み敷かれてしまう。
「しょーご、くん」
「ごめんね、あかり。もう無理。もう我慢できない。挿れるよ」
サンダルを落とされても、ショーツを一気に引き下ろされても、性急で乱暴なキスにも、抗うことはない。
お互いの舌を求め合いながら、汗をかきながら、ただ一つのことを思う。
――早く、繋がりたい。

