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隠しごと
第2章 屈辱
そのあとはたいした会話もなく、店につくまで俺だけ気まずい気持ちで歩く。
街にどこにでもあるカラオケ店に入って、彼はさっさ
と受付を済ましてしまった。
俺はその間ただ待っていた。
軽く手を振られ、慌ててその後ろをついていく。
「ここみたいやな、さっ井上くん入って」
「あ、はい」
(まだ歌ってもないのに帰りたいとか…コミュ障も甚だしいな)
どんよりした気分で席につくと、空気も入らないくらいの距離に彼が座った。
「ちょっ、近!」
「ええやん、仲良うなるために来たんやし」
そうやって笑う彼の目は綺麗過ぎて、どこか悪寒さえした。
しばらくして飲み物が運ばれて、俺は自分のメロンソーダに口をつける。
喉の奥に流れ込む炭酸を感じながら、隣の視線が気になった。
「な、なんかついてる?」
「別に。うまそうやね、一口頂戴」
「あ、あぁ。いいよ」
つい、と渡したメロンソーダは受け取られることはなく
代わりに唇の端を何かがかすった。
(え…いま)
「甘いなぁ、あんま好きやなかった。やっぱこっちでかまんわ」
興味をなくしたように自分のアイスティーを飲むその唇に
「あっ…ぁぁ、ぃぃぃいまいまっ!!」
「なん?」
すっかり忘れていたんだ。彼が、「ゲイ」だということを

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