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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!

とても素晴らしいロケーション。
男女の愛を深めるにはもってこいの、楽園の如き大海原。
……だけど、ここは青姦する場所ではないよ。
しかも皆がいるし。
さらに朱羽、避妊具なんか持っていないよね。
あたしは無意識にお腹を守るようにして手を置く。
逃げようとしたけれど、朱羽に押し倒されて。
きゃ♡情熱的♡
……なんて言えない、笑えない危機的状況。
またお腹が動いた気がして、あたしは反射的に叫んだ。
「駄目駄目! 腹の子に障る!」
……そう叫んだ瞬間、時が凍り付いた――気がした。
目の前の朱羽がまず、ぴっきーんと固まって動かない。
イケメンさんは驚愕MAXのお顔でも麗しい……なんて思える余裕もなく。
「いや、それはその……言葉のアヤで……」
頭の中で、「どんなアヤだよ!」って別のあたしが突っ込んでいる。
「……お腹の子?」
朱羽から繰り返される言葉に、心臓がぎゅうっと鷲掴みにされた心地になった。
「つわり? だから顔色悪くて、気持ち悪いのか?」
「いや、あの、その……」
あたしの馬鹿。
どうして口走ってしまったの!
怖いよ。
朱羽の反応が。
「じゃあなんで……」
朱羽の手があたしのお腹に触れた瞬間、あたしはまたもやびくっとして、手を払いのけてしまった。
だって、身体が反射的にそうなってしまうんだもの。
「俺から逃げる? 俺の子供がいるのなら」
「いやいや! それはまだわからないし」
「は!? 俺の子供じゃないのか!? 誰の子だよ、結城さんの子!?」
「そんなわけないでしょう!? この子のパパは朱羽に決まって……」
あたしが言葉を切ったのは、朱羽が泣いていたからだ。
目からぽろぽろと涙が零れている。
綺麗だなって寝惚れてしまった瞬間、朱羽はくしゃりと顔を歪めさせて、両手で覆った顔で空を仰ぎ、そして右手を突き上げた。
そして――。
あたしを横抱きにして立ち上がると、くるくると回り始め、「あ、気持ち悪いのにごめん」と焦った顔をして、あたしを砂の上に置いて言った。

