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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!

困った顔をして食べようとしないあたしを見て、隣に座った朱羽が言う。
「……やっぱり結城さんがいい?」
あたしは、朱羽の言葉の意味がわからず、目をぱちくりさせる。
すると風に吹かれてさらさらと髪を揺らす朱羽が、悲しげな顔であたしを見る。
「俺にもう、触られるのが嫌?」
「は、はい!?」
なに、今なにを言われているの?
朱羽は唇を噛みしめて、あたしの手を掴む。
「でも俺……陽菜を手放したくない」
泣き出しそうな顔をして。
しかしその目には、情熱を滾らせて。
「別れたくない」
――○□×△◎〒※!?!?!?
「俺に、頑張らせて。陽菜の心が、俺に向くよう……」
「待った!!」
混乱の極みにあったあたしは、ひとまずパイナップルを砂の上において、手のひらを朱羽に向けて叫ぶ。
「な、なんで別れ話になるの? 待って、ちょっと待ってよ!」
驚きのあまり気持ち悪さも吹っ飛んだけれど、お腹の奥でなにかが動いた気がした。
嫌だ、聞きたくないと泣いているように。
だけど頭の奥でこうも考える。
もし今別れたら、赤ちゃんが発覚しても、朱羽に迷惑を掛けずに産んで育てることが出来るかな……と。
……いやいやいや。
待て待て待て。
落ち着くんだ、朱羽、mybaby……そしてあたし!
「……結城さんがいいんだろう? 顔色悪くなるほど、想いを呑み込んで」
「結城!? なんでそこに結城!?」
「彼は陽菜のことを理解している。きっと俺より」
「結城は友達だって、あたしずっと言ってたよね!?」
「でも実際……」
あたしは、朱羽の両頬を両手で挟むと、あたしの方に向けた。
「朱羽。あたしは朱羽が好き。結城じゃないの」
朱羽の瞳が揺れる。

