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第13章 チチデール　前編

馬車の荷台には、藁の中に赤ちゃんが寝かされています。

殺された商人夫婦の子供なのでしょう。

「本当に怖ろしいのは、魔物じゃなく人間なのかもしれないな」
ラッカはそう言って、ため息をつきました。


馬車の積み荷を調べると、商人夫婦がどこの人物かがわかります。

「都の人みたいですね」
ニーナが言いました。

「そうだな･･･引き返すか･･･」
ラッカはそう言って、うなずきます。

赤ちゃんを放置しておくわけにはいきません。

両親は殺されてしまいましたが、都には赤ちゃんの縁者がいるでしょう。

ラッカとニーナは、赤ちゃんの両親と盗賊の遺体を埋葬し、残された馬車に乗り、出発しました。