
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わけありっ、SS集!
第2章 ぎゃるかのっ!

俺は再び言葉もなく唖然。何言ってんのこの子、こんな公然のド真ん中で。そもそも付き合ってないし。
「ほぉら、照れてないでっ! ミサからしちゃうよぉっ」
蒼白になる俺に、ヤマンバギャルは照れてると思ったらしい。いやいやいやいや、引いてんだよ。
「んんー」
両腕をがっと掴まれ、目を閉じた彼女の顔が迫ってくる。そこそこ慣れたはずの香水の匂いもきつくなって、俺はもう限界だった。
「やめろよ……!」
反射的に、もう何年もこんな声出してなかったんじゃないの、ってくらいの大声をあげていた。
同時に彼女の肩を、ばん、と突き返す。
今度はヤマンバギャルが、白く縁取られた目をいっぱいに見開いて固まっていた。
「付き合ってるわけないだろっ! お、俺は君みたいな子好きじゃないっ。テンション高くてうるさくて、平気で腕とか触ってくるし! 人の話聞かないし、勝手につれ回すしっ。そもそも、ギャルが嫌いなんだ! そんなヤマンバみたいな格好、恥ずかしくないのか!? もうそばにくるな、俺はき、君が嫌いだっ」

