この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
潮騒
第2章 身代わりの花嫁 ー風波ー
正一郎はおもむろに菊乃の手を掴んだ。
格子窓から差し込む月明かりの中、正一郎は掴んだ菊乃の手をじっと見ている。
かと思うと急に手を離し、
「立て」
と命じた。
菊乃が戸惑っていると、苛ついた様子で声を荒げる。
「立て!」
びくりと震え、おずおずと立ち上がった。
座った状態で、目の前にある菊乃の腰を両手で挟むように パン!と叩く。
何事かと驚いて見下ろすと、ニヤ、と口角を吊り上げた。
神経質そうな細い目、眉間に刻み込まれた皺が気難しさを物語る。
整っているのに、男前と思えぬのは偏にこの仏頂面のせいだ、と気づいた。
格子窓から差し込む月明かりの中、正一郎は掴んだ菊乃の手をじっと見ている。
かと思うと急に手を離し、
「立て」
と命じた。
菊乃が戸惑っていると、苛ついた様子で声を荒げる。
「立て!」
びくりと震え、おずおずと立ち上がった。
座った状態で、目の前にある菊乃の腰を両手で挟むように パン!と叩く。
何事かと驚いて見下ろすと、ニヤ、と口角を吊り上げた。
神経質そうな細い目、眉間に刻み込まれた皺が気難しさを物語る。
整っているのに、男前と思えぬのは偏にこの仏頂面のせいだ、と気づいた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


