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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「…ルチアーノを護衛につけて……」
「いや、あいつには他の奴らを引きつけておいて貰わないと困る」
「……」
かといって一人で待たせるわけにもいかない
静考の時が流れる
「……え、ちょっと待って。私も行くわ」
「駄目だ」
「……」
そこだけは二人の意見が重なる
「やはりお前が残るしか……」
「失礼致します」
「……!」
振り向けば、開いたままの扉の横に人が立っていた
黒づくめのその姿に一瞬敵かと誰もが思った
「ああ……なんだ」
それが教会の者だと認識してから、レオンが安心して切り出す
「表の通りで“レオン・ファルツ”を探している者たちがいます」
「……!」
まさかもうバレたのか?
いや、それよりも–––
「私たちの素性は明かしていないはずだ。……盗み聞きしていたのか」
「世俗から最も離れているからこそ、世俗のことがよく分かる。
ただ私たちは何もしません……神が望まぬ限り」

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