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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
「ああ、そうだった」
ミゲルはドアに向かいかけた足を止めて振り向く
「最近西から来るデカい船の話が上がってきていただろう」
「あー……あったような気がするな」
レオンは記憶を手繰るように片眉を吊り上げ天井を見た
仕事が手につかない頃に読んだ報告だった為うろ覚えだ
「何か分かったのか?」
「ああ、向こうから直接連絡が来た。船の拠点はフィナル」
「フィナル……」
ヴィークの西の果て、大海に出る海峡にある小さな都市だ
「船長は……クリストフだ」
「クリスが!?」
レオンの顔がパッと明るくなる
それとは対照にミゲルは面倒臭そうな表情を浮かべていた
「夏にここに立ち寄るつもりだそうだ。詳しいことはその時にと」
「そうか、分かった」
喜ぶレオンを見てからミゲルは部屋を出ていった
「…あの……」
しばらくして、ようやくリリアが口を開く
「ああ、すまない。まだ稽古が途中だったな」
「そうじゃなくて……」
リリアは剣を持った手を暗い瞳で見つめた
ミゲルにあんな目を向けられたのは久し振りだ
最初に出会った頃と同じ、警戒心に満ちた瞳ーーー

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