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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
「ヤバい……車とかズルい……」
一時間以上かけてようやく駅に辿り着いた華
まだ春だというのに炎天下に晒されたように汗だくだった
"これ帰りも?"
というかこの距離を毎日通うのか
華は想像しただけで余計ぐったりしていた
"タクシーって私有地入れんのかな……"
どちらにしろ勝手に呼んだら怒られる気がする
第一毎日タクシーで通うお金などない
"みんなどうしてんのかなー"
「華ちゃん?」
不意に後ろから声をかけられ、華は飛び上がった
「壮真さん!」
いつのまにやら背後には背の高いイケメンの彼が。
「こんなところで、何してるの?」
「あ、いえ……大学までの行き方を……」
「……もしかして、邸から歩いてきたの?」
まさかという顔で聞かれて華は恥ずかしそうに俯き小さく頷く
「それは……大変だったでしょう」
「ええ、まぁ……」
そう言った瞬間、華のお腹が大きく鳴った
"やだ、私また……!"
まだ十二時前だが、長い距離を歩いたせいで相当消費したらしい
壮真の前でやらかしてしまうのはこれで二度目だ

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