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蜘蛛の巣
第16章 軋む
反射的に三人ともそちらの方向を向く
「……っ」
壮真の顔が更に不安げに歪んだ
そして遥の表情が暗く、冷たく変わる
ーーーそれは相手も同じだった
「なんだ……お前、まだいたのか」
「……」
要は何も言わない
それでもその瞳からは強い負の感情が見て取れた
「今俺はコイツらと話があるんだ。さっさと出て行け」
「……」
動く気配のない要に遥の怒りが大きくなる
先ほどまでとは違い、怒鳴りつけたり暴力を振るったりすることはない
だが体から発せられる空気は最悪だ
それは彼が要に最大級の嫌悪感を抱いているという証拠だった
「ここは」
要が静かに口を開く
その声は冷たく低くーーー僅かに震えているような気がした
「俺たちの家だ」
「要、それ以上は……」
「気に食わないならお前が出て行け」
壮真の制止も聞かず要は最後まで言い切った
もし壮真や綾斗がこんな風に歯向かったなら、遥は容赦なく、どんな方法を使ってでも自分に従わせるだろう
それをしないということはーーー要を傍に置く価値もないと思っているということだ

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