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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
「時々、本当に一人の人間だったならって、思うよ」
それがどういう意味なのかーーー
分かるのはきっと茅斗だけなのだろう
「アーヤ……」
華は踏み込めない世界にただその名を呼ぶことしか出来ない
「ん……なんでもないよ! 変なこと言ってごめんね!」
綾斗はいつもの様子に戻って笑顔を見せた
「カーヤに用があるんでしょ? まだ起きてると思うから、入ったら?」
「う、うん。ありがと」
「あ、でも」
扉を閉める直前、何やら厳しい顔を見せる綾斗
「あんまりカーヤに構ってないで、華も早く休みなね!」
「え、それ、どういう意味?」
「そのまんま! おやすみー!」
バタン!
「……」
"結局最初から最後までよく分からなかった……"
綾斗の態度に弟が関係していることはさすがの華でも分かる
"でも怪我のことじゃないならなんだろう……"
華は少しの間首を傾げて考え込んでいたが、こんなことをやっている場合ではない
くるりと体を半回転させると今度は茅斗の部屋の前に立った

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