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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
「……は?」
「す、るわけないですよね! あはは! 何言ってんだろ私!」
"ほんと、何言ってんだろ"
要の冷たい視線を受けながら、華は心の中で一瞬前の自分を呪った
「すみません、読書の邪魔しちゃいましたね! あの、私は本当にいいのでこのままここで……」
「なんでそんなことを言う?」
「え?」
初めて要の方から質問されて固まる華
「なんでそんなに俺に気を使うんだ」
怒って、いるのだろうかーーー
彼の表情からは相変わらず何も読み取れないが、何となくそんな気がする
「あのっ、そんな…気を使うとかじゃなくて……なんというか……」
「……?」
「楽しくないのかな、って……ずっと一人でいるから」
要は一瞬目を見開いたかに見えたが、すぐにいつもの大きさに戻った
いや、いつもより目を細めて低い声で続ける
「それはなんだ、憐れみか」
「あわれ、み……!?」
「なんでアイツの傍にいる奴に限ってこぞって俺に近付いてくる……!」
"やっぱり怒ってる……!"
だがその怒りの根源も分からず、華はただ震えていることしか出来なかった

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