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壊してほしい
第1章 拾った女の子
氷月は、ホットレモンを作って丸テーブルに置いた。
女の子は長いソファーに寝かせたままだ。
眠っているらしく、
小さな寝息が確認できた。
『………どうしたものか………』
氷月は腕を組んで天井を見上げた。
(祖父さん、
救急車って呼んだほうがいいわけ?寝てるんですけどー)
氷月はストーブがきいた室内で今は亡き祖父に問いかけた。
変わり者の祖父からカフェを受け継いだのが5年前。
祖父は末期の膵臓癌だった。
氷月はその時16歳。
地元の高校に通っていたが、
日毎に悪化していく祖父を見て決心した。
高校を辞めて調理師学校に通い、
カフェ――【ひいらぎ】――を継ごうと。
高校を1年の2学期で辞めると夜間の調理師学校に入学した。
昼間は隣町にある祖父の友人の喫茶店で見習いとして働かせてもらいながら、
3年かけて調理師免許を取った。
カフェといっても【ひいらぎ】は昔ながらの喫茶店だ。
ナポリタン、オムライス、ハンバーグなど洋食メニューを提供している。
修行先の喫茶店にて洋菓子の作り方を教わった。
アップルパイ・チーズケーキ・
ロールケーキなど王道のスイーツは大概作る。

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