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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon
俺はフロントに預けたスマホを受け取り、通話ボタンを押した。
『はい、朱羽です』
聞き慣れたすました声に、俺は言った。
「お前なにのんびりとしてるんだよ。カバとは一体どうなったんだよ。泊めたんだろう?」
『なんですか、藪から棒に』
「お前カバにキスマークつけただろ」
『……っ。なんで知っているのか聞いていい?』
素に戻る声が、えらく低い。
おお怖っ!!
氷の課長様かよ。
「その前にひとつ聞く。お前うなじも大きなキスマークつけたか?」
『……』
「つい最近できたみたいなんだが」
『……どこだよ、今いるところ』
「なんでカバを離した。なんで結城だかにつけいる隙を与えた? お前カバに言わなかったのか!? それとも言ってても他の男と遊んでるのか!?」
『……二週間、待つと約束した。二週間後に話すつもりだ。もうこんなことはさせない』
静かなる声に、朱羽の怒りと苛立ちを感じた。
「二週間!? おいおい、だったらあと僅かし残ってかねぇじゃねぇか! どうするんだよ、お前!」

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