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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"

月詠はゆったりと半身を起こし、露わになってる胸元を引き寄せる…
「月詠、今晩客を離すなよ」
「へぇ、分かりました」
淡崎はそう言い残すと、何事も無かった様に部屋から出て行く……
「・・・・・・・・」
(全くその気になって‥殺す日が楽しみだわっ!!)
相手が忍なだけあって、迂闊な事は口に出来ないし行動も出来ない。
実際指名された客が来た時、淡崎は屋根裏に潜んでいる…
その後、客がどうなろうが此方の知ったこっちゃ無い。
月詠は徐にち上がり、今日の客の相手をする為の準備に、知らぬ顔で自分の部屋に戻った・・・
「上手くやっているみたいですよ」
夕方、今日の書類整理は瑠衣の担当なので、文机に向かい筆を滑らせながら、総司に月詠の状況報告を話している。
「んー・・・
最近、倒幕佐幕関係無しに殺された死体が五件程上がってますねぇー」
瑠衣の後ろで饅頭を頬張り、お茶を飲んで寛いでいる総司・・・
「はぁ…
今日もですから、明日の朝の巡察にはまた上がります」
先程、月詠から連絡は来ている、多分明日山か川で死体が見つかるだろう。
「敵の意図が読めませんねぇー」
総司からお茶の啜る音が聞こえるが、其処はあっさり無視する事にした…
「そうですか?
ただ主の邪魔になりそうな人間を排除している様にも見えますがね」
師走に入りそうなこの時期、書類の量も日々増えているのが現実で、中々書類整理が終わらない…
「ではその主は、倒幕佐幕関係無しという事ですか?」
「そういう事になりますね…
目的はもっと別な所に有るのでしょうか……」
二つ目の術石を破壊してから、次が見つからない…
予想を外され自分も当代様も困惑している…
何を目的で進んでいるのか、全く検討が付かないのだ。
「ただ待つのみですか…」
「はい…」
寛ぎ中の総司を尻目に、淡々と書類整理の為に筆を動かす…
焦っても仕方が無い、ただ月詠からの連絡待ち‥其れだけである・・・
次の日ー
河辺で男の死体が三体上がった…
家紋から土佐藩の者だと判明、遺体は土佐藩邸へと引き渡された・・・
「この十日で八人かよ…」
土方の部屋で報告中の総司と瑠衣、今日の朝の巡察は偶々一番隊だった。

