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第3章 消せない過去、喪われた想い

知ってる？と言い淀む美和を無視して悠は尋ねた



「……」



答える代わりに、なんだお前はという目で見下ろす凪



「あっ、あたし美和ちゃんの友達で田島悠って言います！

なんかいつかお話したかったんだけど、美和ちゃん連れてさっさと帰っちゃうからー」



まあ恋人だから当たり前か

悠はにゃははと笑う



｢……帰るぞ｣



凪は悠を面倒くさそうに一瞥すると美和の腕を掴んで引き寄せた



｢ちょ、凪！　悠にしつれ……｣

｢あ、いいよいいよ〜。お二人でごゆっくり〜｣



悠は気にしないでとひらひらと手を振った



｢ﾊｱ…｣



遠ざかる二人の背中を見て微かに溜め息が漏れる



｢いいなあ……｣







「ねぇ、ちょっと……痛いよ！」



美和の歩幅など気にも留めず大股で歩き続ける凪



「ならさっさと歩け」

「いや……放してよ！」



美和は大きく腕を振って逃れる



「なんなの……北里くんのことで八つ当たりしないでくれる？」

「別にそんなんじゃねーよ！」



凪は久々に声を荒げた



「ただ……お前がいなくなると不安で……」