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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会
「いいえ……ですが、東雲先生。熱があるのではないのですか?」
「え? 熱…ですか? いえ、ありませんが」
急に振られた問いに彼の顔が過り一瞬ドキッとするが、私が体調を崩していた原因は生理前の予兆だ。
決して風邪などではない。
「そうですか? それにしては随分とお顔が赤いような気がしまして……」
「……っ!」
顔が赤い? 私が?
至って平静を装っていたつもりだったけれど、知らず顔に出てしまっていた?
「そんなこと無いですよ。光の加減でそう見えただけではないでしょうか?」
「そう……なのでしょうか。まぁ…東雲先生がそう仰るのであれば、私の気のせいでしょうね」
私の返答に何となく憮然としながらも、高槻先生はそれ以上同じ質問は繰り返さなかった。
「えぇ……それよりも、そろそろ鐘が鳴ります。職員室に戻りましょう」
「そうですね。では、ご一緒に行きましょうか」
「はい」
高槻先生に促され、内心は落ち着かない胸元を押さえながら歩き出す。
後を追うようにして保健室から出ようとした所で、ある物がふと目に留まった。
……あら? 何か落ちてる。
ガラス戸の棚の傍、手のひらに乗る位のサイズの何かが床に落ちていることに気付いた。

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